心房細動に対するカテーテルアブレーションで
認知症リスク低下の可能性
心房細動のカテーテル治療は認知症予防に効果があるかもしれない。
認知症は、超高齢化社会を迎える日本において、関心度の高い重要なテーマです。これまでに、心房細動と認知症の関連性が複数の研究で指摘されています。2019年には韓国の研究グループが脳卒中(脳梗塞や脳出血)を発症していなくても、心房細動の患者では認知症リスクが増加することを報告しています。
(1)2020年に、同じ研究グループから、新しい心房細動のカテーテル治療に関する研究成果が報告されています。カテーテルアブレーション治療をした心房細動患者(9,119例)では、薬物療法(1万7,978例)に比較して認知症リスクが27%低下することが報告されました。
(2) 脳卒中発症例を除外しても、認知症リスクの有意な低下が認められています。さらに、カテーテル治療の成功例では効果が顕著で、薬物治療に比較して44%低下していますが、失敗例では認知症リスクの有意な低下は認められませんでした。
同研究グループは、カテーテル治療による血管性微小脳梗塞、大脳白質病変の抑制が寄与しているのではないかと推測しています。今後、さらなるランダム化比較試験などが必要ですが、心房細動に対するリズムコントロール(心房細動自体を治す)と、レートコントロール(心拍数調節)のどちらが認知症リスク低下に関連するのかは興味深いテーマです。
医療法人社団CVIC 理事長 寺島正浩
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